1ページ〜春〜
学校が近付くに連れて、私と梨華の期待は更に高鳴るばかりだった。
正門を通ると、そこにはまるで合格発表の時のように、クラス分けの大きな紙が掲示されていて、すぐ様に自分の名前を探す。
「梨華ー‼
一緒のクラスだー‼」
「えっ?本当に?
やったー‼嬉し過ぎる‼」
大きな口を開け、私と梨華の万遍の笑みが重なった。
この1年がもう決まってるかのように楽しみで仕方なくなった。
2人で教室に入ると、おそらくこの1年を一緒に過ごすであろうクラスメイトが既に半分以上いて、どこの中学?なんてありふれた会話が所々から聞こえてくる。
「実莉」
梨華が私の耳元で小さな声を出す。
不思議そうに梨華の方を向くと、梨華の視線は教室中を舐め回すかのように見ていた。
「今のとこ、ハズレだね。」
その言葉に私の目が大きく開いたのは、梨華のあまりにも素直過ぎる残酷な言葉にビックリしたから。
「ちょっと梨華、失礼だよ。」
確かに…そう思いながら小声で返すと、残念そうに梨華は下唇を出していた。
「これから入ってくるメンズに期待しよー。」
やっぱり失礼な発言の梨華の期待も虚しく、教室中の机が埋まっても、私達の心を揺らす男子は現れなかった。