愛した*S*Friend
『お邪魔しまーす』と言いながら

軽快に階段を上がり

ドアを開けると

部屋にこもっていた

タバコの煙が流れ出て

目を刺激する。


『この部屋、煙いよ』と

床中に散らばったビール缶を

片付けながら部屋の中へ進み


虚ろな目をした

啓太の隣へ腰を下ろす。


「ゆずぅ!来たか~お疲れっ!」

耳まで真っ赤な啓太の横に

篤《アツシ》と

千尋《チヒロ》と

晃《アキラ》。

それから、みっちゃん。


これがいつものメンバー。


私は女友達より

コイツ等とつるむ事が断然多い。


だって女は面倒くさいから。

仲良い振りして

どこで何を言ってるか分かんない。


そんな関係はいらない。

小さいことなんか気にしなくていい

サバサバした付き合いが

大好きなんだよね。




「今日は良い日だからお前も飲め」

そう言って大嫌いなビールを

呂律の回ってない篤が持って来る。


『何が〝良い日〟?

 ってか,ビール飲めないよ。

 千尋~

 そこのカクテル取ってよ。』


「どっち?」と

カシスベースと

ピーチベースのカクテルを

両手に持って千尋が尋ねる。


『オススメの方♪』

「ほいよっ」と放られた

水滴のつき始めている

生温くなった缶を開け

〝プシュッ〟という

気持ちの良い音と共に

勢いよく体内へ注ぎ込む。

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