愛した*S*Friend
a sense of distance―距離感―

*再会*

制服もかっちりした冬服から

合服へと変わり始めた頃。


帰りのショートホームが終わり

ポケットから取り出した携帯を

教室を出ながら開くと

見慣れた名前からの着信が2件。

《啓太》《千尋》

常に一緒に居るこの2人から
着信が鳴っているという事は

きっと集合が掛かるんだろう。


どっちに掛けなおすか一瞬迷ったけど

携帯が携帯の役目を果たしてない
啓太はやめて

千尋へと電話を掛ける。


〝I become so numb~♪〟

無理やり待ち歌に設定させた

お気に入りの洋楽がワンフレーズ流れたところで

「はいよー」と明るい声に切り替わる。


『ごめん今学校終わったよ!』

「お前今日暇ー?集合するぞ!」

『超忙しい!どこ集合?』

「やっぱ暇なんじゃん♪とりあえず‥街?」

『いつものコースだね。
 歩くのめんどいから迎えに来てよ』


「いいよ。まだ学校に居るし今日は俺が行くよ」

と,言うのも大抵は体力バカの啓太か

優しい晃が迎えに来てくれている。


だから千尋の迎えは珍しいこと。

迎えと言っても自転車の2ケツだけど。


『ありがとう♪
 4時半には駅に着くからお願いね』


電話を切るとタイミング良く

閉じたばかりの携帯が

啓太からの着信を通知する。


通話ボタンを押すと同時に『集合でしょ!知ってるよ』と告げると

負けんばかりの勢いで

「おー生きてたか。
 
 お前最近付き合い悪いから
 
 今日は引きずってでも
 
 連れて行こうと思ってた所だよ。
 
 んじゃ後でねー♪」

なんて勝手に話終わって

電話は切れてしまった。


本当に啓太の人間性が滲み出てる。

啓太ってこういう奴。

果てしなく適当なのに

どこか憎めなくて。


そんな啓太だからこそ

包み隠さず

付き合えるんだけどね。





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