愛した*S*Friend
ご飯を済ませ店を出る。

いつもよりは少し早いけど

今日は解散する事になった。


勇助君は私達の地元と

全く逆方向なので店の前でばいばい。

晃も卒業してから隣町へ引越した為

名残惜しみながら帰って行った。


残った私と啓太と千尋。


家の方向は同じでも

3人とも交通手段が違う為

とりあえず私を送る為に

啓太は原付を

千尋はチャリを突いて

駅へと3人で歩き出す。


他愛もない会話を弾ませながら

駅がもうすぐ目の前の時。

鈍感で単純バカの啓太が

突然「お前なんかあったろ?」と

何もかも見透かしたような表情で

こっちを見ていた。


それを機に千尋までも

「俺も思ってた。
 
 言わなかったけど晃も多分気付いてるよ。
 
 お前はすぐ態度に出るからな~」

なんて言う始末。


話すつもりはなかったけど
 
隠しているつもりもなかったから

度肝を抜かれた気分になった。


〝何もないよ〟と言おうと思ったけど

ここまで皆が気付いているなら

今日ばかりは素直に甘えようと

『帰ってから聞いてくれる?

 着替えたらそっち行くからさ』と

再集合を掛けた。

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