愛した*S*Friend

前回と変わらないほどの時間が経った頃に

「着いたよ」とメールが届く。


それを合図に玄関を出て

月極駐車場に歩いて行くと

ﾜｺﾞﾝ車独特のｱｲﾄﾞﾘﾝｸﾞ音が

どんどん近くなって行く。


今日は自ら助手席のドｱを開き

『久し振り』と

心の内を悟られないように無理やり作った笑顔を向け

相変わらずｽｶﾙﾌﾟﾁｬｰの香りが充満する車内へ乗り込んだ。


「久し振りだね」

相変わらずの笑顔を一度だけ向け

創真君の運転する車は進み出した。


目的地は告げずに。





次に逢える時はきっと

嬉しすぎて泣くだろうな―とか

色んな想像をしていたのに


いざ,その状況になってみると

案外平然といられるものなんだと思った。




‥覚悟していたから？


―ううん。

きっと創真クﾝだから。


創真クﾝの作り上げる空間がﾅﾁｭﾗﾙすぎるから。