愛した*S*Friend
空室の写真を掲載している掲示板の前で止まり

「どの部屋にする?」なんて聞いてきた。


〝行くなんて言ってないのに〟

思ってもない言葉が浮かんで来たけれど

「じゃ止める?」なんて言われたら


後悔でいっぱいになると分かっていたから

その言葉は飲み込んだ。



『創真君が決めてよ』


彼の選んだ部屋が良かったのは

自らの意思で決めてくれた方が

きっと記憶に残ると思ったから。


少しでもいいから

彼の記憶に存在したかった。


このホテルはランクが3つあるようで

そこは彼なりの意地なのか

一番上のランクの

お風呂から海が見渡せる部屋を選んでくれた。



部屋のある棟へと車は進む。

来慣れている感たっぷりの創真君を見て


少しだけ 嫉妬をしてしまう。






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