愛した*S*Friend
「お風呂入ろう?」と

創真君の腕の中の

まだ余韻に浸ったままの私に声を掛ける。


―お風呂だけは入らないと決めていた。

 夏帆ちゃんと同じ事だけはしたくないから。



『後で入るから先入っていいよ』

「一緒に入らないの?」

『入らないよ!恥ずかしいもん』

「今更じゃん?んじゃ入って来るわ」


抱きしめていた腕をゆっくり解き

頭を優しく撫でてベットから出て行く。


やっと働き始めた頭で

さっきまでの行為を思い出していると


創真君の浴び出したシャワーの音と共に

すーっと涙が流れた。



愛のない行為でも温もりは得られるけれど

終わった後の虚しさはとてつもなかった。




―夏帆ちゃんにも同じ事をしたの?


―同じように抱いたの?


―同じように‥優しくしたの?



切りがない想いがぶちまけて来る。






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