EXCAS
「レナ……」
 呆然と、呟いた。
 力を得て浮かれていたのか、守られた事に実感が湧かずと惑った。
 気付いていない、出会った時と同じように守られたと。
 初めて共に戦ったという事を。
 それは共にあろうと協力し合おうと約束した仲、だからこそここにいる。
『まったく、無茶ばかりするんだから』
 心底困ったように、とても場違いな声だった。
 諭すように、保護者のような言い方。
 機械の無骨な顔が、感情が篭った女性のよう。
 ACEにはただの捕獲対象、同質でありながら異質のEXCASと見えたが、ショウには確かに今まで過ごしたレナの顔に見えた。
 盾を張ったままで、けれど顔はショウを見て。
 わたし怒っていますよ、という口調だ。
『一人で戦わないで。友達同士、助け合うのが基本。わたしは、貴方を助けますよ』
「困った。一人で突っ走った、俺が馬鹿みたいじゃないか」
『大馬鹿です。わたし、守られるだけなんて真っ平ですから』
 力強く微笑んだ、そんな気がする。
 不思議と、力も何も残っていないショウに生命力が満ちていく。
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