EXCAS
 不思議な感覚だった。自分の身体が在りながら別の何かに変わっている異質。
 初めて気づく、レナというEXCASの中。
 辺り一面を映し出した、空中に浮いていると錯覚させる体内。
 イクシアスのまま『古き印』が描かれた足場に立ち尽くす。
 形容詞し難い高揚感、不安、そのすべてが渦巻く中に立つ事が、どれほど勇気がいるだろう。
「……というか、どうして君がここにいるんだ」
 中央に、見慣れた小さな存在が蹲っていた。
 それはショウを見つけた途端、嬉しさと寂しさから飛びついた。
『ごめんなさい、一人にしておくにはどうしても不安で』
「だからって、こんな戦場に巻き込んで」
『一人の方がずっと危ないです。それに、二人で守れば大丈夫、じゃないですか』
 レナの言い方に、困り諦めたようにショウは溜め息を吐いた。
 自分に抱きついた、リンの頭を優しく撫でる。
「怖いとは思うが、辛抱してくれ。すぐに終わらせる、もう怖い思いはさせない」
「う、ん……お兄ちゃん、がんばって」
「ああ、お姉ちゃんの事も、しっかり応援してやれ」
「うん! お姉ちゃん、がんばってね」
『そう言われたら、張り切らないとね。じゃあショウさん、行きますよっ』
「任せろっ!」
 気合充分、負ける気皆無と呼応。
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