EXCAS
「(私は最低だ。戦える者だけが戦えばいいのに、手を借りたがっている)」
 艦長として当然だ。大勢の命を預かる者として、少しでも生き残る可能性を上げる。
 連帯感のないならず者集団、そうとしか表現できない集まり。まとまりが一部と一時的でしかないのなら、少しでも戦力は増やしておきたい。
 戦争に勝つためにも、生き残るためにも。
 彼女の考えは艦長として正しいく、彼女という人間からすれば間違っている。
 矛盾の思考、矛盾の感情。
 見出した結論は他人任せ。
 自分からは何も言えない、すべて彼らに任せようと。

 格納庫に向かう途中の通路で激昂する影があった。力の限り配置してあったゴミ箱を蹴り飛ばし、怒りのままに飛び散ったゴミを踏み壊す。
 怒りは冷めない、ただ冷静さだけが戻る。
 こんな事をしても晴れるわけがない、力の限り叫んだところでどうにもならない。
 ただどうしようもなくやるせなくて、ところ構わず暴力を振るいたくなる衝動を抑えよう。
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