EXCAS
 適当なファミリーレストランを見つけて、じゃんけんに敗北した亮太に奢らせる。相変わらず勝負事には弱い、と笑ったがお前が強すぎると断言された。
 奢りとなると皆遠慮はしない、高い料理を食べられるだけ頼みだす。
 きっと財布は軽くなるだろう。重いものを軽くしてあげるんだ、怒ったりはしないはずだ。
 食事が終わり食休みも兼ねて、近場の大きな公園で遊んでいる。
 亮太たちは今夜の、男たちだけでやる飲み会の買出し部隊、詩絵瑠はリンと一緒になって遊んでくれている。
 レナは隣で、その二人の和やかな雰囲気を見て楽しんでいる。
「……どうか、したんですか?」
「どう、とは具体的になんだ? 唐突に」
「何か様子がおかしくて。きっと、あの三人も気付いている」
「ポーカーフェイスは得意技の一つだったんだがな」
 それは少し前までか。
 今日一日、内心が落ち着かないのは当然。
 せめて、今胸に秘めているものを打ち明けない限り。
 元の俺に戻れそうになかった。
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