EXCAS
「……そうだな。いつまでも、黙っておくわけにはいかないし」
 艦長室での出来事を話す。
 必要な事だけ。
 俺に、戦うようにと言ってきた件の事だけ。
 他の、あいつらの人間像などは知る必要もない。手短に要求された事だけを伝えた。
 話が終わると、暗く青い顔でレナは俯いてしまった。
 何故か、彼女が考えている事が理解出来てしまう。
 まるで、語りかけてもらっているかのように。

 わたしがこの人を巻き込んだ。
 辛い事ばかり回って、嫌で悲しい思いばかりさせている。
 戦いと縁のない日常を歩んでいたはずなのに、大人の汚すぎる世界とは遠いはずだったのに。
 わたしは、こんな思いをさせるために、手を取ったんじゃない。

 気付くと、レナの頭を撫でていた。
 昔やっていた、泣いていた子供をあやすように。
 それで機嫌を直してくれるとは思わなかった。
 ただどうしても、この先の言葉を聞いてもらいたくて。もう、戦わなくていいんだと言ってあげたくて。

「俺、軍に協力するよ。だが、レナは来なくていい」
「…………!?」
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