EXCAS
「戦えと言ってきたけど、レナも来いとは言ってない。俺が機体に乗って戦う事にする」
「それで、いいの。そんなので、いいの」
「構わない。もう、レナを戦いに巻き込まない。巻き込みたくないからな」
「……そんなの、イヤだな」
 予想外の答えだった。
 すぐに肯定はないとしても、答えをこの瞬間に返してくるとは微塵も思っていなかった。
 手は優しく振り払われ、優しく握られ、戸惑うほど真っ直ぐに見つめられた。
 真っ直ぐすぎる、どうしてか後ろめたい気持ちにさせる澄んだ瞳。
 柔らかい人肌に、彼女はちゃんとした人間なんだと、そんな認識が。


 人間? あれはEXCASになれる正体不明の存在だ。
 人ですらないかもしれんだろう?


 また。黙るがいい。
 それは今、必要とはしていないっ。


 一瞬だけ視界にノイズが走り、目前には微笑を浮かべたレナの顔が近くにありすぎた。思わず仰け反りそうになるが身体が許さない。
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