EXCAS
 上段から一撃、両断。
 人間が乗った機体は消えた。
 火に包まれて、きっと跡形もない。
「、は……ぁ」
 覚悟はしていた。これで三人目だった。
 初めてレナと戦って意識を失っていた時など、知らないところで人間を殺しただろう。
 けれど今この瞬間だけは。
 自分の手で、三人の人間を殺めた。
 覚悟なんて揺らいでしまう廃屋の大黒柱。それでも放棄しない。諦めたり、逃げたり、それだけは絶対にしない。
 亮太が戦っている、ランサーが戦っている、いつか殺されてしまう戦場で。
 詩絵瑠も艦に乗ってくる、この死が充満した戦場に。
 彼らと共に在ろうと思った、死なせないよう、守るのではなく戦おうと。
 小さな女の子がいた。リンという、母親とはぐれてしまった子。
 守ってあげたいと思った、母親に会えるまで、決して死なせてはいけないと。
 共に戦ってくれる人がいる。敵に狙われている人がいる。どこか自分に似ていて、どこか放っておけない人がいる。人と呼べるか悩む者はいる。だけど間違いなく、俺は少女と呼ぶ。決して機械だとは思えないから。
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