EXCAS
「そんな事、出来るかぁあ!!」

 怒号の吹雪は魔力の嵐。
 吹き荒れる風は見えない何かを切り刻む。
 痛みに圧迫された身体は訴え、けれど要請を却下する。
 湧くエラーを揉み消し、痛む身体を苛めて、今までの比ではない速度で飛行していく。
 もはや触れる事さえ適わない。単純な速度から導き出された結果ではなく、それが生み出した空気の刃によるもの。
 極めて小規模な、極めて強力な風の刃が形成され、触れるものは例外なく刻まれる。
 捕らえていた何かが容易く壊されるほどの威力が保たれている。
 尽きかけた魔力は、しかし以前の勢い以上に溢れていた。蝋燭の最後のように。
 駆け抜ける速度は稲妻を越え、人の目には止まらぬほど。
 だが、果たして。
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