EXCAS
 ギュルギュルと、卑猥で背筋が凍りつく気配を感じた。
 力を手に入れたばかりの者ならば、血迷うかと振り払えただろう。

 だがショウは、自らの直感を信じた。

 そこは危険だと、そう訴える直感を。
 死の気配を嗅ぎつけた、魔術師としての勘を。
 直角に上昇、急停止は一秒ない。爆弾が破裂したと勘違いするほどの魔力による加速。
 いくつもの木々を薙ぎ倒し姿が消える。
 同時に焦げた大地が陥没する。
 まるで生物の足のような、比べ物にならない大きさの跡がいくつも。
 捕らえようという意思など微塵も感じさせない殺意による動作。
 が、これだけの結果で諦めるのか。
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