EXCAS
 身体を守るために握り締めた掌から、こみ上げた悔しさを現す血が流れた。
 皮膚が裂けて流れた血は、ただ無念の象徴に成り代わるしかないのか。

 ――――。

  ――――。

 断絶しているノイズ。
 思考を鈍らせ遮るノイズに、何故か意識を委ねようという、そんな気になり始めていた。
 流れる血の一滴、身体中に開かれた裂傷を把握。
 痛みを感じる神経の一筋一筋を切断、内部に生じた骨の亀裂を無視。
 緊張した筋肉に緩急を加え柔和、痛覚により固まった感覚放棄。
 苦痛を訴える内部器官は魔力補強、異常な早鐘を打つ心臓を無理矢理停止させ、生命最優先事項に掛かるため沈静化へ妥協。
 補強した内部より魔力補給要請、使用不能の神経を魔力路に再利用。
 肉体強化を魔力放出と同時進行、眼球の魔力強化を最優先。
 防御行動から近接行動へ移行、魔力配分本体優先、主武装CALIBURに形状維持の補給。不可視不探知魔術迷彩の眼破理論、形成。
 コード・『Evil(邪) eye(眼)』システム。
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