EXCAS
 赤い閃光が伸びていく。
 暗い闇へ向かって空を駆け、軌道を阻む一切を粉砕し勝利を謳うように天上へ舞う。

 暗い光点が阻み続ける。
 白い空を突き破り来る光に、自らの一部は微塵に砕かれ敗北を謳うように天下へ舞う。

 紫煙の斬光が衝撃を起こす。黒い巨体を揺るがせて、悪魔に脅威と恐怖を感じさせた。深く一筋の傷跡は、同時にこの戦況を大きく揺るがすだろう。

 蒼翠のオッドアイが敵を捉えた。
 悪魔の植物の、一つだけ生えた紅い眼と交差する。
 対峙は一瞬、視線の交差は時間軸に掲載されない短時間。
 それでも互いを認識した。
 それを敵だと、
 それを対象だと、
 それと殺し合うのだと。
 紫光と銀片、火の粉と黒燐が舞う中で、二つの瞳は長く短く。
 敵対者を睨む。
 視線が織り成す火花も散らない、無言の衝突。
 三色は混ざり合い混沌を成し、ベルを鳴らす。
 受けたダメージは致命的ではなくとも、痛くないとは言えない。
 さらに言えばステルス機能を破壊され、その姿を露にしてしまう。
< 194 / 493 >

この作品をシェア

pagetop