EXCAS
 悪い予感がする、という錯覚を信じて進む。
 上へ下へ
 左へ右へ
 機体が一体も残っていない格納庫、
 看護用EXCSAしかいない医務室、
 与えられた彼女の個室、
 死闘を繰り広げている友人の個室、
 見当違いの回り道をして、ブリッジにいた。

 艦長などいない無人にして狭く亮太の気に入らない空間だった。
 というより、居る機会がないだけに愛着も何もない。
 だから、そこにいる事がやけに不思議だった。

「意外。どうしてこんな所にいるんだろうね」
「わたしの科白でもあるよ。亮太さん、下で会議しなくていいの」
「それは君にも言えるんじゃない? 少しでも意見がほしい時じゃない」
「……わかっては、いるんだけど」

 言葉を濁すレナ。
 理由はわかっている、ショウの事が心配で仕方がないのだろう。
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