EXCAS
「きっと、いるんだ。待っている。だから……はやく行かないと」

 どんな形でも、きっとそこにいる。
 捕まっている、気を失って捕まっている、ただ意識がないだけで。
 まだ生きている、その悪魔のどこかにいるはず。
 だから行かないと、そう自身にひたすらに言い聞かせていた。

 一瞬、その思いに陰が差す。

 希望で掻き消すが、その際に生まれた隙が致命的。

「っ!??!」

 たまたま死角に潜り込んだ触指が、強かにレナを弾き飛ばした。痛いと思う暇もなく、その無防備な肢体を貪るため他の指が絡みつく。
 彼女を視界に捕らえた友人たちが、悲痛な声を上げる。
 亮太が名を、
 ランサーが怒りを、
 詩絵瑠が救援を、
 それぞれ叫んだ。

 だが応えるよりも、状況の方がはやく悪化していく。
 蠢く触指は加減を知らずレナを嬲る。それは玩具であると断言する強さ、壊れてもいい消耗品の如く叩き殴った。
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