EXCAS

 ――苦悶の声を雑踏に流れる雑音と等しく聞いていた。

 親しい間柄の者が嬲られ、その様を堪えきれずに葛藤する若者たちがいた。
 テレビ画面に映ったリアルタイムの放送程度。まったく無関心を装える。

 抗う者、
 負ける者、
 死に逝く者、
 勇ましい者、
 どう在ろうが無関心。ただそれだけ。

 生身の身体でもないのに、溜まった苦痛を熱い吐息として出す。
 本当なら軋み悲鳴を上げる身体を抱き締めたいのだろうが、それは叶わぬ願い。
 両腕が引き伸ばされる。無邪気に、壊してやろうと。
 首は締められ、足も延ばされ、あらゆる間接から捻り捥ごうと。
 ただの人形ではないとは言え、第三者から見れば所詮作り物の機体(からだ)。
 火花を散らし壊れる音が今にも聞こえて来る。
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