EXCAS
「っあ、ぐぅ……!」

 痛みに歪む翡翠の双眸、悲鳴を押し殺す唇、磔にされた身体。
 巨大な白き機体からそんな姿が幻想された。
 見た少年たちは、怒りが頂点に達した。
 声にならない怒号を上げ、地獄と化した茨の処刑場へと身を投じる。
 レナを離せ、口々にそう叫び。

『亮太、ランサー!』
『馬鹿! 二人だけで突っ込むな、死ぬぞ!』
『うるさいな、邪魔するんなら引っ込んでいろよ! 友達を、助けるんだ!』
『いくら隊長だからって、くだらない命令を下したら撃つ!』
『チィ。若いって、いい事だな。ダージュ!』

 突撃する二人を追い、ゼムとヴァイフェが行く。
 隊長に呼ばれたダージュは残った味方を引き連れて来る。

『散開は命取りだ。二人に続け! レナを救出し、一点集中突破する』
『『了解!』』

 唖然とする亮太とランサー。だが、次々と自分たちを置いていく軍勢を見て、迷いと恐怖は消えた。
 絶望もそこにはなく、捕らわれのお姫様を助けに行く希望を見た。
 天使を救う人間たち。
 まるで御伽噺の一ページ。
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