EXCAS
 ――だが、それさえも響かない。

 恐怖に怯えた死はなく、
 狂い果てた絶叫は失せ、
 一点の気持ちが集中した心強い戦争。

 それさえも、ただの風景にしか感じ取らない。
 何一つ変わらず、何一つ変化として受け取らない様は彫刻。
 生の概念を棄て、死の結果を受け入れない間。

 それを持続させた存在。
 ならば、ここに対して何の思念も浮かばないのは必然か。

 暗い海。
 硝子より透き通った世界の境目。
 浮かんだ彫刻は、見続けている。
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