EXCAS
 彫刻は不快に感じた。
 鳴り止まぬ雑音が、天使が口にした名前を連呼する怨念に苛立ちを覚える。
 純粋に消したいと思う。
 そのために。

 アレラが、邪魔だと思った。

 一気に攻め落とすぞ。
 そう、誰かが言った瞬間の出来事。
 すべてゼロ秒の世界。

 触指が蠢いた。
 去る天使の二の腕に絡み付いて拘束を始める。
 無論、友達である二人が黙っていない。
 剣を振るい、指を切り落とす。
 それらを撃ち、間合いの外まで逃げようと。

 雑音が喧しく。
 少年らと機械仕掛けの少女を呼ぶ。

 なんて騒音、不快。
 はやく落としてほしい。
 そう切に願い、心情を読み取った怨念は一層喧しく。
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