EXCAS
 誰も気付かない。
 視界の隅で、ギュルギュル、ギュルギュルと廻り絡み螺旋を描く指の存在に。
 彫刻だけが気付いていた。
 五月蝿い雑音、消えろという願いが叶う瞬間が来る。

 特に、少女の名前が五月蝿い。

 嗚呼、ハヤク穿テ。

 気付け気付け気付けと。
 何度も雑音は聞こえない叫びを上げた。
 誰にも聞こえない言葉は血反吐を吐くように。

 片方の機体が先導して腕を引く。
 片方は最後尾を守り、天使は力なく従った。

 同時に、螺旋の指は完成した。

 ひたすらに凶悪に、
 ひたすらに極悪に、
 一瞥するだけで嫌悪感を抱く。

 それがなんと、彫刻には希望に見える。
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