EXCAS
 ちょうど一時間でレナのお説教は終わり、ぐったりとしたショウがそこにいた。
 時計を見れば八時を過ぎた頃。
 この時間帯では不自然な静けさだった。朝食の時間や、遅めの起床などで廊下はざわめいていたのに。

「今日はやけに静かじゃないか」
「今日だけじゃない、昨日からだよ。本当はね、みんな五時に朝食を終えているんだ」
「それは速過ぎないか? 訓練だって、九時過ぎからじゃないか」
「仕方がないの。最終決戦が……明後日なんだから」
「最終決戦? 明後日? おいおい、一体どう事態が転がっているんだ」
「落ち着いて聞いてね。まず、事の発端はあの機動兵器を撃沈した事から」

 あの機動兵器は、貴方がステルス機能を破壊した時に暴走したんだ。本当は小型の艦載機みたいな物も積んでいて、それは宇宙空間に飛ばされていたの。結果、敵味方問わずに破壊を繰り返して、本体が壊れたと同時に機能停止。このステーション宙域に、一隻の艦も残っていない。
 それが三日前、その翌日にどうして最終決戦なんて言い出せるんだ、あのおっさんは。
 話はもう少し続くの。三日前の内に何とか体制が立て直って、今言った宙域の確認が出来たの。そしてあの人の指示で艦載機の回収を命じられ、かなり先まで見ていく事になったの。無茶な話だったけど、その最果てで敵の補給基地を発見した。基地は半壊状態で、あれより劣るステルスで隠してあった。戦闘用の人員はほとんどなく、たった一部隊で落とせるほどだった。
 なるほど、その気に乗じて一気に攻めようと言い出したわけか。ただ、いくらなんでもそこまで軽率じゃないだろう。敵の基地から、物資を奪ったのか。
 その通り。なかったのは人だけ、使える最新型のOSがいくつも。それを連絡し、手を回したところ五日後には最後の援軍が来ると。
 ようやく納得だ。チャンスがいくつも重なって、確かにこれを最後にしない手はない。犠牲者は多く、士気を怒りで高めさせたのか。
 一昨日の話が以上、昨日はその演説で決めた通りに皆が変更された時間帯に従い、休み時間は減って訓練の嵐。ほとんど部隊内だけで具体的に何が変わったとかはない。変わったのは時間帯だけ。みんなを縛りつける、時間の枠が。
< 265 / 493 >

この作品をシェア

pagetop