EXCAS
「……わかった。でも、最後に一つだけ聞かせてくれ。リンは――どうなった?」
「どう、とは。ちゃんと両親に会えたかという事?」

 無言で頷く。それが今、どう関係するのかそんな事は考えない。
 あれだけ親身に探した彼が、その事を気にしない日はなかったのだろうと解釈して。

「大丈夫。昨日、ちゃんと会えたって、言ってくれたから」
「そか――」

 溜息、それは安堵の物以外に他ならない。
 証拠に、表情は今までになく穏やかだった。眠っている時でさえ、常に苦しそうにしていた今までが嘘のよう。
 手を貸してくれ、と何の前触れもなく言った。
 布団から無理に出ようとするのかと思えば、穏やかにまずレナの手を取った。
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