EXCAS

勇の奮戦は荼毘に伏す

 警鐘が鳴り響く。
 逐一被害を報告しながら、未だのらりくらりと艦内を駆けるだろう兵士に向けて。

『左舷Aブロックにて火災発生』

『下舷Dブロック大破』

『第二、第三防衛隊は至急西方格納庫より出撃準備……』

「……被害が大きくなってきたな。まさか、ここまでやれるとは思っていなかった」

 最終防衛線を司る部隊長、ガイア・オルンティスは楽しげに舌打った。

 初めて出会った時は戦場だった。
 どちらも顔は知らず。初めて手合せした時は暴走していた。
 稚拙すぎて嘲笑う。それが良くぞここまでと、自軍との戦いを見ながら感服していた。

「……気に入らない戦いではあったが、最後に楽しめそうだな」

 そう、これが最後だ。
 次はない、後はない。
 この戦争最後の幕は、もう上がったのだから。
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