ＥＸＣＡＳ

　気を抜くな抜けば死ぬ、数秒後や瞬間には爆炎に塗れて果てるだろう。
　宇宙に舞い躍り出る事はない、だがここもまた命が危険に晒される戦場なのだ。
　安全な場所などない、生を謳歌したいのならば絶え間なく動き戦え。
　メディアが率いるこの間は最前線にいた。先の会話から、すでにこの艦に中佐はいない。最後尾に位置する大型のスフィンクスで指揮を執っていた。全軍出撃の命を出した直後、そちらへ移ったのだ。
　なんていう無責任、だが同時に嬉しくもあった。保身を考えた作戦に、勝とうという気を見出せない。本人は真面目なのだろうが、死力を尽くさなければならない戦いには無価値。
　後ろへ下がったのも恐怖心からだろう。
　死に対する恐怖、生にしがみ続ける無様さ。生に執着する事を悪とは言わない、生きるという事は尊い事だから。
　問題は、その仮定。
　懸命に生き続けるならばいい、自分に誇れ、他人からも認められる生き方ならば。
　だが他者を蹴落とし、自らを優先し、それだけが残ればよしとする生き方は醜さを通り越し怒りが湧く。