EXCAS
「(後方援護なんていっても、とても当てにできない。私たち自身で何とかしなければ)」

 背後は気にしない、目の前の現実にのみ対処していく。
 その時に出来る自分の最善を尽くしていた。
 ただ、この瞬間だけが振り返っておくべきだった。
 変化していく戦場。半数を壊滅させた部隊と、援軍に来てくれた部隊が交戦を開始した。
 完全な混戦状態、下手な援護は出来る状況ではない。
 本来の敵本体を直接狙う先方に切り替えて。

「! 10時の方向より熱源、艦砲です!」
「……緊急回避、急いで! シールド集中、攻撃に備えて」

 言い切れないうちに、艦に衝撃が走った。何の前触れもなくやってきた巨大な地震は、彼女らがいる地区には被害を及ぼさない。
 見えない身体には、いったいどれほどの傷がついたのか。

「っつ、状況の報告を」
「……左舷居住区大破、シールド発生装置に異常発生。シールド耐久力40%低下」
「10時の方向にて敵艦隊出現。巡洋艦と駆逐艦タイプです」
「(たったそれだけの戦力で、ここまで被害を受けるはずがない。如何に不意打ちと言えども。何か、カラクリが)」

「!! 艦隊中央に、巨大な熱源発見! これは……砲台?」
「なるほど、それで狙い打たれたわけか。
 あの艦は、全部エネルギーを回していただけ……」
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