EXCAS
 そんな威力を至近距離で受けた機体はひとたまりもなく、同時に放った本人までも勢いに耐え切れずピンボールとなって弾き飛ばされた。
 無様と罵りたかったろう、だがそれは彼の狙い。
 勢いに逆らう事をせずに乗りこなし、油断していた正反対側の敵に襲い掛かった。顔面を潰し腕を捥ぎ、足を砕いて急所を貫き、頭部から平らに叩き潰し、両断された胴が廻って隣人を巻き込む。屍はさらに爆発となって軽微ながらも味方に傷を与えた。
 そんな微細、けれど輝かしい身体に色はつかない。
 コクピットに搭乗した二つの存在は、悠然と堂々と戦いに没頭する。
 外世界に浮かぶ、『古き印』の上で。
 様々な情報が描かれたパネルが虚空に浮き出し、衛星の軌道を描いてショウの周りにある。
 その前に、客がいた。
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