EXCAS
 淡い光の中に漂うヒト。
 ショウとは違ったパネルに囲まれ、普段着はなりを潜め黒一色。身体のラインが浮き出る服は幼さを際立たせ、けれどやましい気持ちは湧かない。空ろな瞳をしながらも、違和感はそれだけ。他は何一つ、彼女と変わらない。

「レナ、周囲に味方はいるか?」
「いいえ。貴方が無茶ばかりして目立つから、周囲一帯は敵だらけですね」
「それは僥倖。では、もっと頑張るとしようか。誰かの役に立つ事は、いい事だ」
「気張りするのはどうかと思いますよ。ええ、苦労するのは一人じゃなくて二人なんですから」
「手厳しい。じゃあ、その苦労も減らすとしようか。さあ、辛いだろうが……一気に片をつけようかっ」

 翼が展開する。四枚がそれぞれ別の方角を向き、牙を剥いた。
 両手にはCASTERとJOKERの二丁拳銃。すべて明色に彩られる魔力、ビーム兵器を凌駕する出力、あらゆる性能を上回る本能、六度の砲撃は、確実に宇宙を明るく染め上げる。
 魔力の渦、魔術師の片鱗、力の濁流。
 すべてを飲み込む彩色は、一瞬で彼以外を染め上げた。
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