EXCAS
 気配を探る、争いで殺気立った宇宙に彼に対する敵意は皆無だった。先ほど、そのすべてを消し去ったのだから。
 拳銃をしまって、軽く息を吐いた。
 消費した魔力量は半端なく、そうやすやすと回復するものではない。立ち上がったままで小休憩。

 出来ればよかったのだろう。
 現実は甘くない。
 休みなんて優しさが与えられるまもなく、再び激戦の渦中に陥った。

 総毛立つ、あまりの強烈さに背筋が凍りつく。
 黒い空さえも染め上げる色の感情が押し寄せ、直感で理解した彼らは共感した。開いた瞳孔が捉えるその視界、感情、思考、嗜好、志向。それらを感知すれば、嫌でもわかる。
 これは敵などではない、害を成す■■そのものだと。

 手加減など出来ない。
 全力でCALIBURを振り被り切り落とす。
 並みの敵では間違いなく終わっただろう、胴を断ち切られ無様に漂い止めとばかりに骸の欠片すら残さず滅ぼされただろう。これが、並みの敵ならば。
 ただの雑兵、ただのEXCASならば。
 ……これは、異常な存在だ。
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