EXCAS
 慣性の法則を無視した動き、超高速の突進は減速も停止もなく直角に上がる。
 コンマの世界で、すべては行われる。
 大振りの剣の勢いに逆らわずEXCASショウは廻る、直角の軌道は常に九十度で曲がって背後を取る、必要箇所に瞬間的に魔力を送り加速し剣が呻る、動きはすべて先読み故その行動は既に予測済みと剣が吼える、音速を越えた物同士の衝突は物理ではなく理論でもなく第三要素の災害を生む。
 白き刃、黒き刃、
 紫煙の波動、黒煙の波動、
 純粋な魔力同士がぶつかり合い――――

 亀裂が生じた。
 色のない混濁した虹、あらゆるペンキを混ぜた有害、そんな亀裂が空間に生じていた。

「…………まさか、こいつも魔術師なのか?」
「違いますよ。第一あれはOSです、如何に魔術師であろうとEXCASでなければ魔術は使えません。あるとすれば、たった一つ」
「チッ、よりにもよって最悪のケースで来たわけか」

 魔力というのは簡単に言ってしまえば精神力・生命力の事。
 それを増幅し魔術兵装として使えるのが、このEXCASというシステム。それをなくして、彼のように強大な力は発揮できない。
 物事には例外があるように、もう一つの手段をとらない限り。
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