EXCAS
 殺し合いこそ人の性。戦う事こそ生きる道。そう信じて生き抜いた、それがすべてと疑わなかった。戦争とはつまり、弱者と強者を分けるものではなく生きるために必要なもの、かけがえのない事象。

 生きる事が戦う事という、それは否定しない。だが戦争は殺し合い以外の何物でもない、避けられるならば避けるべきだ。戦うという事は殺すという事ではない、人を殺してでしか生きていると思えぬのか。

 剣が砕ける。音を立てて、実体のないそれは瘴気のように晴れて、実態を持ったそれは宝石のように鮮やかに。
 枯渇し動く事を拒否する肉体は、最後に退避を命じた。
 攻撃の反動を利用しての戦線離脱。拳打と蹴撃が重なり合った、機体が砕け散ってしまいそうなほどの衝撃に襲われ、共に彼方まで飛んでいってしまった。
 振り返る事もなく、いずれまた相対するだろうという確信を持って。
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