EXCAS
「……亮太君は、諦めるの? 復讐を、お姉さんの敵討を、イマまでの路を」
「そうじゃない。そうじゃないんだ、諦めはしない。あの時の思いは間違いじゃないから。ただ薄れてしまっただけ。だから、そう……あの時程熱心にはなれなくても、戦いは止めない。これが終わって、新しい路を歩けるようにしたい」
「強いんだ、亮太君。復讐から、そんな選び方も出来るんだよね」
「藤咲さんは、変えないの? ショウに復讐する路を、別の別れ路に乗り換えないの」
「君がそういう路を選んだように、私も自分の路を行くよ。彼を、恨んであげる路を行く……」
「…………藤咲さん?」

 遠い目をした、悲しげな顔だった。
 彼女のそんな顔は見た事がない、けれどそんな表情をどこかで見た。決して古くはない昔、この現実のどこかで。
 戦花火が沈んでいく。
 その表情を見ていた亮太は気づかなかっただろう。
 この争いが、終盤に向かっている事を。
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