EXCAS
 ――この戦争は、短いものであった。一月にも満たない戦争だ。
 だが、被害は甚大である。一つのステーションが沈み、大勢の人間が殺された。大勢の軍人が殺された。協力者たちが殺された。
 我々は、これを悲しむべきではない。
 哀れむべきでも、断じてない。
 我々は、怒るべきだ!
 彼らの無念を、憤怒を、憎悪を、晴らすべく戦い続けるのだ!
 たった一人を撃ち滅ぼすまで、たった一人も逃す事なく!
 平和を取り戻すのだ、彼らのために。我々のために。このような敵を許してはならぬ、このような敵を二度と生んではならぬ、勇者と褒め称えられるためにいるのではない。あえて汚名を被ろうではないか!
 我々は、歴史に名を残す! 悪や正義は問わぬ、それは後世の者が見定めるのだ。  今、この瞬間にすべてを賭けよう! この気持ちに嘘偽りない答えを言おう。
 我々は、正義の代行者としてここにいる!!
 我々こそが、正義だ!

 御高説感謝の極み、と誰かが囀った。
 歪な笑みを浮かべて、心底嬉しそうに。
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