EXCAS
 一斉に敵が湧いて出た。
 女王蜂を守る蜂のように、一斉に針を剥き出しにして威嚇した。
 当然の事ながら、今までの優勢があっさりと覆された。それは錯覚でしかないというのに、数が上だからという理由で皆臆してしまった。

 唯一、攻撃がなかった事が救いであった。

 しかしその事が、余計に次の一手を打たせなかった。
 用意に誰かが撃てば再び戦火の火蓋は切って落とされるだろう、それは大きな被害を呼ぶ。
 ではどうしろと。
 この状況で、他に何が出来るというのだろうか。
 何も、在りはしないというのにそんな答えを導き出そうとしている。
 膠着があり、静寂があり、緊張があった。声を潜め、演説が止み、コンソールを握る手は汗ばんだ。
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