EXCAS
 それは、果たしてなんだった。
 疑問に答える術を、俺は持っていない。
 魔術兵装の威力は、この身を消滅させただろう。出力はビーム兵器よりも強力な物が、十も重なって俺たちを襲った。
 ――それなのに、どうして。
「……やっと、現れたかっ」
 苦しげに、重々しく、蒼い機体から声が漏れた。けれど姿は見えない。
 何故か? それは目の前に、白い壁があったからだ。
 白い光が、瑠璃色の閃光を弾いた。
 黒色を拒む白色のように。
 しかし、其の身のなんと雄大な事だろう。
 突き出された剣は、何よりも尊く思える光を放ち、
 舞い広がる翼は、天から光臨する女神を思わせ、
 脆弱な人間たちを救う姿は、まさしくこの世の守護者。
 それは偉大な力を持った
   破壊すべき白いEXCAS。
 それは雄大な姿を模した
   揺るぎなき白い代行者。
 それは淡く力を持たない
   主なき白い放浪者。
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