EXCAS
 唯一つ、理解できない言葉があった。
 この戦争は、たった一人が選択した結果なのだと。

 仮に、そう仮に。
 それが望むべくしてそうなったのなら、彼が自ら望んでこの結果を導き出したのならば。

「――――絶対に、許しておけんな」

 だが。仮に、そう仮に。
 これが望まない形であったのだとしたら。悔いのない選択を選んで、譲れないモノを守ってきた結果がこの形なのだとしたら。

「だとしたら、それは――――」

 言葉はない。その思考が最後。
 暴走列車に呑まれた最後の指揮官として、クレス・ダイクン中佐としての最後の思考。
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