EXCAS
「……これ、は……」
 左の手に乗せられた少年と少女は、それが何かも知らずに呆けていた。
 それが、大いなる物である事を、それがすべての発端である事を。今はただその手に抱かれて時を忘れる。
 藍色の、機械的な瞳が少年を見る。
 だが、確かにショウは感じ取っていた。
 その色に、暖かな感情というものが宿っているという事に。
 その感情、いったいどれほどか。
 少なくとも、彼には他のEXCASと同じと思えなかった。人と同じ、人その物の感情があると思えた。
 これが、出会いだった。
 すべての始まりだった。
 短くも
  すべての運命を定めた
   鯨幕の一時。
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