EXCAS
『思い出せ、魔術師の女よ!
 お前が引き起こした悲劇を、
 お前が食い尽くした惨劇を、
 お前が殺しぬいた終劇を!』

 それはどんな感情か。嗤いながら限りなく回り続ける舌。
 乾ききっているだろうにも溢れている涙。哀なのか楽なのか、制御の出来ない感情は狂気となる。

『我らが時代にいた初代魔術師よ、機会との融合を果たした世紀の完成作よ!
 お前がすべての根源、現在(いま)という時代を作り上げ、現実(いま)という戦争を引き起こした疫病神!
 過去だけに飽き足らず多くの人間を不幸に導く、そんな貴様を悪魔と呼ばずなんと言おう!?』

「……貴方が、起こしたくせにっ」

 囁かな、蚊が泣くような声の反撃だった。
 あまりの理不尽さに、そう言うしかなかった。
 だがそれさえも気に召さなかったよう、僅かな抵抗すら気に召さず、子供じみた勢いで反撃が来る。
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