EXCAS
 言葉は傷つける。見えない傷を深く負わせる。それは時に肉体面よりもひどく、特効薬がないだけに治りが遅い。最悪、一生背負う事になってしまう場合だってある。
 許せない、許せない、自らの傷の深さも考えないでショウは荒れ続けた。

『あの少女を、見捨てればよかった』

「「――――っ!」」

『たった一度の出会いで、二度と会わなければよかった。その異質に関わらなければよかった。平和とは言えずとも、自らの手を血に染める道には浸らなかった!!』

 それは、間違いなく誰かのせい。
 誰かのせい、誰かのせい、誰のせい? 考えるまでもない。
 殻が罅割れていく、開放ではなく取り返しのつかない方向へ。加速していく、壊れていく、それは心の崩壊。考えてはいけない、自分を構成する根本を切り刻まれていく。同時に、それはショウへの思い。

『この道にいたから、お前の友達は死んだのだ。お前の、目の前で』

「――――――――――」

 耳を覆う事なく、溢れた涙に気づく事なく。
 ただ。もう。どうでもいいのだと。そう思ってしまった。

『それが何故後悔につながらない! すべての元凶はあの少女だろう、それに関わったがためのこの結果だ! それを呪わず、何故嘆かない!?』

 虚ろう視界の先で、諦めたはずの視界がまだ動く。見たくないと思っているのに、それでも縋ってしまう。
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