EXCAS
 無人。中には、文字通り誰もいない。
 ただ、脱ぎ捨てられた服だけが乱雑に放置されていた。

『そんな、どうして?』

『人なら、先ほど落ちていったではないですか。貴方たちの、目の前で』

「――まさか!」

『中の人たちは溶けてエネルギー体となってしまいました。どうやら、その形状は液体のようです。密閉された中にいる限り、人の思考は残るようで』

『あの影響、ショウ君が感じたそれが外部まで影響したのね。だから躊躇いなく襲ってこれて、だから躊躇いなく落とす事が出来た』

「胸糞の悪い。そんなやつらを引き連れて、お前は俺たちの邪魔に来たのか」

『結果的にはそのようで。一応、彼らは私の部隊員なので』

「……正気じゃない、な」

 これ以上話す事はない、時間が惜しい、戦闘開始を告げるため銃口がEXCAS・ACEに向けられた。
 人を人と思わぬ機体、軍用はほぼ口も聞かずその印象が強かった。だが、これはそれに拍車をかけている。
 口を聞く事が出来ながら、人の振りを出来ながら、その死を悲しんでいない。
 哀れとしか感情を抱けない相手を、それを良しとして駒のように使っている。そんな事が許されるのか。
 激昂したゼムはACEに向かっていく。
 彼もそれに応じ、互いの剣を振るってレベル違いの戦闘を繰り広げた。
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