EXCAS
何処に、何処に味方がいるというのだろう。
焦げ汚れ、残骸が散りばめられた曲状の床。
どれが敵で、どれが味方だった物だというのか。判別なんて、つくはずがない。
これが戦場、これが仕方がない事だと。
今の彼に、そう思える感情制御は存在しない。
「……どうして、こんな事に」
「立ち止まっちゃあ、駄目だよ。ほら、すぐそこが、ゴールだから」
「何言っているんだ、ゴールがなんだよ! みんな死んだ、たくさん死んだ! 隊長も、死んでしまったかもしれない。ヴァイフェさんは死んで、ダージュさんはどうなったかわからない! どうして、そんなに落ち着いていられるのさ」
最後の酒盛りを思い出した。それほど煩くなかったとはいえ、思い出の中では充分な馬鹿騒ぎではなかっただろうか。
それはもう、過去の事だと美化された証。
二度と見られない、二度と経験できない過去の事だと。
それはどんなに寂しくて、辛い事だろう。
目を閉じて思い出そうとした。自分の姉の事を、失う前の平穏を。それがどんなに懐かしくて、曖昧だったか。
思い出そうとして懐かしく、とても遠いものだと実感した時。
それは二度と感じられない、悲しさ。
焦げ汚れ、残骸が散りばめられた曲状の床。
どれが敵で、どれが味方だった物だというのか。判別なんて、つくはずがない。
これが戦場、これが仕方がない事だと。
今の彼に、そう思える感情制御は存在しない。
「……どうして、こんな事に」
「立ち止まっちゃあ、駄目だよ。ほら、すぐそこが、ゴールだから」
「何言っているんだ、ゴールがなんだよ! みんな死んだ、たくさん死んだ! 隊長も、死んでしまったかもしれない。ヴァイフェさんは死んで、ダージュさんはどうなったかわからない! どうして、そんなに落ち着いていられるのさ」
最後の酒盛りを思い出した。それほど煩くなかったとはいえ、思い出の中では充分な馬鹿騒ぎではなかっただろうか。
それはもう、過去の事だと美化された証。
二度と見られない、二度と経験できない過去の事だと。
それはどんなに寂しくて、辛い事だろう。
目を閉じて思い出そうとした。自分の姉の事を、失う前の平穏を。それがどんなに懐かしくて、曖昧だったか。
思い出そうとして懐かしく、とても遠いものだと実感した時。
それは二度と感じられない、悲しさ。