EXCAS
「どうしてこんな事ばかりなってしまう! 戦争が憎くないわけじゃない、ショウやレナの事が憎いわけでもない!」

「むしろ立派で、羨ましいとさえ思えるんだよね。それなら、どうしてここで立ち止まるの?」

「僕の心が弱いから。犠牲を見て心を痛めて、止まってはいけないのにその悲しみに飲まれて泣きたくなる!」

「本当に。君は弱いんだね」

「いけないかよ!!」

 振り向いた。そこで、それは間違いだとすぐに気づかされた。
 機体を揺らす大きな衝撃。すぐに振り返って席に着き、襲ってきただろう背後へと向き直る。
 そこには紅い扉。この惑星の動力部へと続く巨大な扉。
 その前に、十本もの触手が蠢いていくつもの砲台を搭載している。
 この扉の防御機能だろう。そんな物があるだろうという考えさえ浮かばずに、己の甘さに死にたくなる。

「藤咲、サポートよろしく。相手をしているもの以外の把握を、お願い」

「……了解。慎重に、ね」

「言われなくとも!」

 四枚ある羽根のうち三枚をやられ、最大加速は不安定。
 通常飛行ならば何の問題がないものの、四角に潜り込んでの近接行動は不可能といえる。
 ならば一つ一つ、確実に落とせばいい。
 タイミングを合わせれば、どれもこれも一撃で落とせる方法がある。
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