EXCAS
「……さあ、これをどうしようか。こんなに大きな物、どう壊せというんだ」
 何倍もある巨大な扉を前に、消耗し尽くした亮太はただ呟いた。もっとも、健在であったからといって壊せるものではないのだが。
 クラッキングでも仕掛けるべきなのだろうか。だが、そんなテクニックは彼は持っていない。
 詩絵瑠、と頼みに振り返ろうとすれば先に声をかけられ制される。
 少しだけ待っていなさいと、まるでいつかの年長者を思わせる物言いに苦笑した。
 そんなところで、自分の姉を思い出したのだから。

「…………開くよ」

『亮太!!』

「!? 隊長! 無事だったんですか」

『まったく、この容貌を見て、どこが無事に見えるんだ』

「……すみません」

『まあ、生きているからいいんだけどな』

「隊長、最後の作戦の説明をしたいんですが。よろしいですか」

『ああ、構わん。どうせ、もう戦う力は俺たちには残っていない。策があるなら聞かせてもらいたい』

「扉にクラッキングが仕掛けられたように、動力部に直に仕掛けます。簡単に言えば、自爆装置を誤作動させます」

「そんなもの、あるの?」

「なければ自爆するようにプログラムするなり、大爆発しそうな施設を誘爆させればいい」

『過激だな。おっと、言っているうちに、開いたようだ』

「よし。早速中に――――!」

『よけろ!!』
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