EXCAS
 悲鳴はまるで女性。
 いたいけな少女。
 この腕に抱いた少女のような、

 理解と同時に脳内が軋む。

 身体が熱く、
 瞳が熱く、
 骨が、血が、脳髄が、
 ――右手に熱が篭る。
   心臓から湧き上がるモノが流れ込む。
 ――灼熱は出口を探して右手の中で荒れ狂う。
   暴風のように加減ない。

 聞こえた悲鳴に耳が鳴く。
 聞こえた苦痛に理性が飛ぶ。
 聞こえた、キコえた、聞こえタ、聞コエた、キコエタ、キコエタ、キコエタ、キこえた、聞コエタ、聞こえた、キコえた、聞こえた、聞コエた、キコエタ、聞こえた、キコエタ、キこえた、聞コエタ、聞こえた、ナカシタ。

 ――熱暴走で感触がない。
 そこにあるはずの存在は認知できない別のモノ。
 ――肌の色が変色する。
 紅く、黒く、白く、蒼く、虹色になった異形な、

 貴様が泣かせた、貴様が聴いた。
 痛みの嘆きを貴様が聴いた。
 その泣かせた者に怒りを覚えたか?
 その泣かせた貴様に怒りを覚えたか?
 無様無様無様、愚か愚か愚か、未熟未熟未熟、罵られ足掻け人間。屈辱を糧に負を抱け。
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