EXCAS
「あの二人も懲りないな。賭け事で俺に勝てると思っているのか」
「勝負事に関わると絶対に負けないよ。運動神経はみんな同じくらいなのに、競争の一言で勝率上がる」
「運が味方しくれるからだろう。またはあいつらが不運なんだ」
「辛辣。ところで時間は大丈夫? お昼食べている時間なんてあるの」
「少し不味いかな。ああ、でも何とかなるか……おいクロト」
 ショウに声を掛けられた人物が振り向く。だがそれは、人物ではなかった。
 肌の色は異質で硬い、瞳の色は緑色でガラス玉を連想させ、学院の服と体が一体化していた。彼こそ学院に入学するEXCAS(イクシアス)。人間らしさを覚えさせるため開発者や購入者が入学させるのだ。クロトは警備型。卒業すれば会社か駐車場で突っ立っているだろう。
 正義感の固まり、正しさを求めるEXCAS。戦闘能力もあり、警備の一環で回っているところだった。そんな彼にショウは、
「悪いけど、今のシフトに入っている奴らに遅れるって伝えてくれ」
 堂々と遅刻宣言、サボり宣言をしたのだった。
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