EXCAS
 高速で飛来する。
 人工的な光が奥から。
 その事に気づいているだろうか、白天使は少年だけを見つめ、少年は天使に目を奪われていた。
 一秒が永遠にも感じる長さ、永遠は一秒に等しい長さだった。
 白い指が差し出された人の腕と交わる。滑稽な一枚絵は、しかし。
 人工物と自然物、
 異なる存在同士は、
 相手の温かさを確かに感じ取った。
 その奥にある、命の鼓動を司る優しさを垣間見た。
 優しさの中で眠る、すべてを構成する意思が触れ合った。

 その時、白き天使と少年は一つになった。

『「ここに契約は完了した。
  我らを、死が二人を別つまで」』

 契約者。
 この命を、預けよう。
 我もやがては、呼びかけに応じよう。
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